ZEISS Lattice SIM 5
あらゆる空間次元で超解像度を実現するライブイメージングシステム
ZEISS Lattice SIM 5は、細胞内構造とその動態を捉えるために最適化されています。Lattice SIM技術とSIM²画像再構築アルゴリズムを搭載したZEISS Lattice SIM 5は、生細胞と固定細胞の両方で、最高60 nmの極めて優れた超解像性能を提供します。さらに、SIM Apotomeイメージングモードと低倍率対物レンズを選択することで、超解像度で詳細を観察する前に、試料のオーバービュー画像を高速に取得することも可能です。
ダイナミックなプロセスと微細な細胞内構造を捉える
ZEISS Lattice SIM照明パターンとSIM²画像再構築アルゴリズムを搭載したZEISS Lattice SIM 5は、構造化照明顕微鏡(SIM)を新たなレベルに引き上げます。生体試料を保護するために、露光を抑えた場合でも、常に考え得る最高の結果を得ることができます。従来のSIMの2倍の分解能で、60 nm以下の細胞内構造をも識別します。光効率の高いLattece SIM技術は、従来のSIMと比較して空間分解能が2倍になるだけでなく、最大255 fpsの高い時間分解能を実現し、生体にも固定試料にも低ダメージのイメージングを提供します。
キャプション:LifeAct-GFPを発現するU2OS細胞中のアクチン動態を、Lattice SIM 3Dリープモードとフェーズを削減してイメージング。対物レンズ:Plan-Apochromat 63x / 1.4 油浸
生体試料のニーズに合わせて最適化
ZEISS Lattice SIM 5の柔軟性により、分解能を優先するか速度を優先するかを決める、あるいはその中間を見つけることによって、実験のニーズのバランスをとることができます。フォトンバジェットを使ってxy分解能を100 nm以下に高めたり、必要な生データの枚数を減らして取得速度と低ダメージ性を向上させることが可能です。ZEISS Lattice SIM 5には、生データの枚数を減らすためのオプションが多数あり、ご希望の空間分解能と時間分解能に最適な取得設定を選択できます。
キャプション:Cos-7細胞における小胞体のタイムラプスイメージングにより、極めて動的な構造変化が明らかに。試料ご提供:Miyawaki Lab, Riken Institute, Japan
より信頼性の高い実験結果を取得
ZEISS Lattice SIM 5には焦点面外で発生した光を排除する機能があり、散乱光の高い試料であっても、ワイドフィールド顕微鏡で鮮明なセクショニングが可能になります。SIM²画像再構築は、特別なSIMの点像分布関数を用いて、生体試料に対しても固定試料に対しても、ZEISS Lattice SIM 5の構造化照明に基づくすべての取得データを、画像アーチファクトを最小限に抑えて確実に再構築します。強力で実績のあるアルゴリズムから生成された再現性のあるデータに基づいて、実験的な結論を出しているので、安心です。
キャプション:微小管(抗チューブリンAlexa Fluor 488、シアン)とアクチン(ファロイジンAlexa Fluor 561、オレンジ)で染色されたCos-7細胞
ZEISS Lattice SIM 5のバックグラウンドテクノロジー
Lattice SIM
3Dライブイメージングのための超解像技術
Lattice SIMでは、試料への光照射が、従来のSIMのようなグリッド線ではなく、格子スポットパターンで行われます。その本質的な2次元性により、格子パターンは並行再配置のみで、回転の必要はありません。これによりイメージング速度が劇的に向上します。また、格子パターンにより、より高いコントラストと正確な画像再構築を実現します。サンプリング効率が従来のSIMの2倍であるため、必要な光照射量が半分となり、優れたライブセルイメージング技術としても注目されています。
ワイドフィールドイメージング
画像の分解能は、回折限界により物理的に制限されます。また、画質がピンぼけのような状態となり、バックグラウンド信号の影響を受けます。
従来のSIMイメージング
より高い周波数を発生させるために、試料は格子状のパターンで照射され、このパターンの回転および並進の異なる位置で撮影されます。処理後の画像は、3次元すべてにおいて2倍の分解能を持ちます。
Lattice SIMイメージング
試料はグリッド線ではなく格子スポットパターンで照射されます。従来のSIMと比較して、サンプリング効率は2倍高くなっています。格子パターンはよりコントラストが高く演算、処理に対してより強固になっています。
再構築画像
画像取得後、超解像画像が生成されます。Lattice SIMでは退色を抑え、長時間撮影でき、より高いフレームレートでも画質を維持できます。
SIM²画像の再構築
従来のSIMと比べて2倍の分解能
SIM²は、構造化照明顕微鏡データの解像度とセクショニング品質を向上させる斬新で画期的な画像再構築アルゴリズムです。SIM²はすべてのSIMイメージングモードと互換性があり、ZEISS ZENソフトウェアに完全に統合されています。
従来の再構築アルゴリズムとは異なり、SIM²は2段階の画像再構築アルゴリズムとなっています。初めに次数の組み合わせ、ノイズ除去、および周波数抑制フィルタリングが行われ、デジタル画像操作から生じるすべての効果が、デジタルSIM点像分布関数(PSF)に変換されます。その後に反復されるデコンボリューションでこのPSFが使用されます。ハードウェアをベースとする顕微鏡データのデコンボリューションに実験的なPSFを使用するメリットと同様に、SIM²アルゴリズムは、分解能、セクショニング、確実性の面で、従来のワンステップ画像構築アルゴリズムよりも優れています。
SIM Apotome
用途に合わせた光学セクショニング
SIM Apotome取得モードを選択すると、超解像度で詳細を観察する前に、試料のオーバービュー画像を高速に取得することが可能です。SIM Apotomeは、構造化照明を使用して、鮮明なコントラストと高解像度でラージボリュームサンプルの高速光学セクショニング画像取得を可能にします。
SIM ApotomeにSIM²再構築アルゴリズムを組み合わせることで、高コントラスト、高解像度、高速ライブセルイメージングの低ダメージ性を最適化できます。あるいは、高速光学セクショニングを使用して、様々な倍率で広い試料エリアや大きなボリュームを撮影する際の生産性を向上させることができます。
SIMイメージングをさらに高速化
加速モードを使用すると、2D・3Dイメージングの時間分解能と生産性を向上させることができます。
2Dバーストモード
完全な時間的情報を取得
バーストモード処理では、ローリングウィンドウアプローチにより生体試料のプロセスを最大255 fpsで観察できます。またバーストモードは撮影後のステップであるため、取得済みのデータセットでフレキシブルに使用可能です。データ分析に必要な時間分解能を決定できます。
3Dリープモード
新たなレベルのデジタルセクショニング
3Dの高速イメージングという困難な課題に対しては、リープモードで撮影することにより、イメージング時間を短縮し、試料への露光量を抑えることができます。これは、ボリュームイメージングの速度を3倍に高め、露光量を三分の一に減らすために、3面毎に1面だけをイメージングすることによって実現します。
同時2色イメージング
生細胞の研究では、様々なタンパク質や細胞小器官の相互作用に注目することがよくあります。そのようなダイナミックなプロセスを深く理解するには、各構造の同時イメージングが欠かせません。ZEISS Lattice SIM 5は2台のカメラを搭載し、真に同時2色イメージングを行うことができます。
深部の隠れた細部を解明する
厚みのある試料でも高品質セクショニングと超解像を達成
Lattice SIMの照明パターンは、従来のSIMと比較して、より高いコントラストとより深い試料浸透を示します。厚みのある試料や散乱光のある試料でも、高品質のセクショニングと共に超解像画像が得られます。
Tang教授とそのチーム(Hsiao et al., Nature Communications 2023)が開発した新しい透明化・包埋技術と、堅牢なLattice SIM照明パターンおよび優れた画像再構築技術を組み合わせることで、約200 μmの厚さのマウス腸切片全体のイメージングが可能になりました。血管および神経のネットワークを、この深部でも細部にわたって可視化できます。
生体の細部を観察する
高い時間・空間分解能でのライブイメージング
ZEISS Lattice SIM 5は、高速イメージングを卓越した光効率、少ない光照射量、感度を組み合わせることに成功しました。これにより、生体試料の細胞、細胞内部、さらには細胞小器官の構造を2D・3Dで経時的に観察できます。
ミトコンドリアは非常にダイナミックな細胞小器官であり、細胞全体にATPを適切に分布させるため、常に融合と分裂を繰り返しています。その役目を果たすため、ミトコンドリアは微小管を含む多くの細胞内区画と相互作用することが知られています。トコンドリアは目的の場所またはERに到達するために微小管に乗ります。ERはミトコンドリアを包み込み、核分裂の前に直径を収縮させます。