X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaでイメージングした成長中の大豆の花の構造。胚珠を育てる子房が、光る花粉粒子を含む葯に囲まれている。
ライフサイエンスのX線イメージングアプリケーション

セクショニング不要の植物の内部構造イメージング

3D構造を維持したまま細胞レベルの情報を取得

植物の構造を理解することで、健康指標である農作物の強さや寿命、収穫効率や収穫量に関する情報が得られます。植物の構造やその成長、機能、外部要因による影響のビジュアライゼーションは、植物の健康や収穫を最適化するのに役立ちます。非破壊X線顕微鏡では、試料をカットして3D構造を壊すことなく、植物の様々な部位の構造情報を高分解能で取得できます1, 2

画像ご提供:Dr. Keith Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, USA

種子の成長を観察

成長中の大豆種子、ZEISS Xradia Versaによる高分解能スキャン。子房の中に胚珠があり、それぞれさやと種子になる。ご提供:Dr. Keith Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, USA

種を傷つけない高分解能イメージング

X線顕微鏡ZEISS Xradiaシリーズでは、根、葉、茎、花部花房、種などの様々な構造を、ハイコントラスト、高分解能で非破壊的にイメージングすることができます。X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaでは、2段階倍率と多彩な対物レンズによって、植物試料の3D構造を維持したまま、細胞レベルの高分解能が得られます。

シロイヌナズナ種子、X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaでイメージング後にDragonfly Proで3Dセグメンテーション。

3Dデータを定量化

高分解能イメージング後にデータをセグメンテーションすることで、3Dデータを定量化できます。Dragonfly Proのような解析パッケージを使うことで、高精度のデータセットからでんぷん粒の数、大きさ、配置などの情報が得られます。

花部の観察

成長中のシロイヌナズナの花の構造を様々なスケールでイメージング。明るい点は花粉粒子、細長い構造の子房の中に多数の成長中の胚珠(種子)。ご提供:Dr. Keith Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, USA

繊細で複雑な花の構造のマルチスケールイメージング

ZEISS Xradia Versaで取得後にイメージング解析ソフトウェアDragonfly Proで加工したデータから、植物の内部構造の細胞レベルまでの詳細情報が得られます。イメージングのための試料のカットは不要で、植物全体の構造を維持したまま情報を取得できます。

根のイメージング

土中で育つ根。2 cm x 10 cmシリンジ筒全体を、その後の高分解能イメージング用の関心領域同定のために撮影。ご提供:K. Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, St Louis, USA

土中で育つ根のマルチスケールイメージング

全般的な植物の健康と増殖は、根構造の成長と土との相互作用によって決まります。一方で、土中にある根の場合、その成長プロセスを捉えたり、in situで観察したりすることは困難です。非破壊X線イメージングは、土中で成長する根とそのネットワークのビジュアライゼーションに最適な技術です。X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaによる高分解能イメージングでは、根を土中から取り出すことなく、その構造を細胞レベルで可視化できます。

土壌侵食を抑える方法の探索

グンバイナズナのさや。まず0.4x、次に4xの対物レンズを使ってZEISS Xradia Versaでイメージング。ご提供:Dr. Keith Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, USA

グンバイナズナの非破壊観察

土壌の質を維持し、それぞれの場所において収穫量を最適化するためには、土壌侵食や肥料の流出を防ぐための方法を探索する必要があります。グンバイナズナは安価な被覆作物として開発され、土壌侵食、肥料の流出、土壌の炭素貯留を防ぎ、微生物環境を良好に維持するために、通常の農産物の休閑期に植えられます。X線顕微鏡では、物理的なセクショニングを行わずに、グンバイナズナの内部構造をビジュアライゼーションすることができます。 

土壌団粒の観察

ZEISS Xradia Versaにより、試料チューブ内の土壌団粒をそのままの状態でマルチスケールイメージング。ご提供:Dr. Keith Duncan, Donald Danforth Plant Science Center, USA

土壌団粒をそのままの状態で観察

土壌侵食に加えて、様々な土地管理手法が土壌や土壌団粒に与える影響も重要な課題です。X線を使った非破壊イメージングでは、まとまった量の土壌の構造、境界面、変化を3Dで観察することができます。土地管理手法が土壌や植物の健康に与える影響をマルチスケールで観察することで、他では得られない有用な情報を得られます。土壌を耕す従来の栽培法と不耕起栽培など、異なる土地管理手法を比較する研究を行うことができます。

3D撮影時のSNRとスループットの向上

タバコの葉のパンチ生検。2Dの3001投影像データセットを従来のFDKアルゴリズムにより再構築(左)
タバコの葉のパンチ生検。2Dの3001投影像データセットをDeepReconにより再構築(右)
タバコの葉のパンチ生検。2Dの3001投影像データセットを従来のFDKアルゴリズム(左)またはDeepRecon(右)により再構築。ご提供:K. Duncan and K. Czymmek, Donald Danforth Research Center, USA

深層学習を利用した再構築によるノイズ削減と取得時間短縮の両立

深層学習を利用した再構築によって、データセットのSNRとイメージング全体のスループットが向上します。ZEISSのDeepReconでは、再構築に最終的に必要とされる2D投影像が大幅に減少するため、取得時間が短縮され、マイクロCTのスループットが最大で10倍向上します。

X線ビームラインハードウェアを追加することなく、性能を大幅に改善することができます。植物科学の試料では、スループット向上によって毎回の取得時間が短縮されるというメリットがあります。またSNRが上昇することで、分解能を上げてもノイズによって目的の構造がかき消されることがありません。

イメージングの使用事例

Donald Danforth Plant Science Center

  • 世界最大の非営利植物研究施設が、X線顕微鏡ZEISS Xradia Versaを使って、花部の成長の観察、根のマルチスケールイメージング、土壌侵食を抑える方法を探る様子をご紹介します。


この記事を共有する

ダウンロード

    • Using X-ray Microscopy for High Resolution Multiscale 3D Imaging in Plant Biology

      A valuable approach for exploring plant anatomy

      ページ: 10
      ファイルサイズ: 5 MB